2016年度吹奏楽コンクール課題曲解説資料

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作曲者・西村友先生による演奏アドバイス

4/24 課題曲クリニックの配布資料から。

曲について

簡単な三部形式です。
まあ、複合三部形式だけど、そんな大げさな曲でもありません。

序奏 ⇒ 主部(A)⇒ 中間部(B)⇒ 主部(A’)⇒ 終結部
もう少し詳しく書くと、

  • 序奏
  • 主部(Theme 1 → Theme 2 → Theme 1)
  • 中間部(Theme 3 → Theme 4 → Theme 3)
  • 主部(Theme 1 → Theme 2 → Theme 1)
  • 終結部(Theme 1 + Theme 3 → 後奏)

って感じです。

序奏はファンファーレの後、Theme 1 の変形。苦悩、苦難。
振り切るように主部に入ります。

Theme 1 は葛藤、苦難と、それに抗う心。それでも前に進むちから。
Theme 2 は想い、願い、誓いの歌。しかしスピードは変わらずに進みます。まるで、頬にあたる風を切り進むように。
弱気な心を打ち消すように cresc. して、もう一度 Theme 3。
カオス(混沌)の中から中間部へ。

中間部 Theme 3 は愛、慈しみ、救い、安寧。もしかしたら大切な誰かかも知れません。
Theme 4 は束の間の幻影、平和。過去への懐古。
手を伸ばすと幻影は掻き消えて、自分一人が残る…ように Theme 3 に戻ります。
孤独から出発し、様々な人が現れるように音が重なっていきます。聴こえてくる音は仲間なのでしょうか、それとも振り切るべき過去の慰撫なのでしょうか…
そして再び、旅立ち。

初めの主部と同じで、Theme 1、Theme 2、Theme 1 と続きます。
しかし先ほどの部分とは少し変化が起きています。物語的に言うと、
「デジャブではない。思い込みでは届かない。しかし確かに戦いは核心に向かっている」

「強さ、重さと増したカオスの向こうに光が差す」
「走り出す、空へと駆け上がる」
Theme 3 と Theme 1 の変形、Theme 2 の音形も見えます。
「皆そこにいる」
「希望は確信に変わる」
「英雄の真っ直ぐな視線は未来を見据える」
「喜びの光は煌めき少年は英雄になる」

演奏上のお願い

”指揮者”の目で見たアナリーゼはまたの機会にしましょう。
”作曲者”としては…

  • 冒頭の4小節目のメロディ(Cla.2 etc.)は Cla.1 に潜りがちなので、セッティングや音量バランスによっては人数の配分を考えた方が良いと思います。
  • 基本的に三連符と付点のリズム感は大げさに変化させた方が良いと思います。
  • 「B」からの主題。マルカートで演奏してください。もちろん短すぎず。四分音符と付点八分音符が全く同じ印象になるように演奏してほしいものです。
  • 「D」の一拍前、フェルマータや、一度指揮棒を止めてからのテンポとり直し(せ~の!ってやつ)はやめてほしいです。(おにく注:定演前から、安定のために逆にコレをやるようにしてますw)Timp. が活きるように。
  • 主部はとにかくドライブが滞らないように演奏してほしいです。伴奏が三連符と四分音符でドライブ感が変わりがちなのです。
  • 「F」からが1小節単位で音楽が切れないように長いフレーズで演奏してほしいです。メロディも伴奏も。Hrn. が切れ切れなのは、ドライブが損なわれないように音の揺らぎが欲しかったから、です。
  • 「G」の前の Hrn. Trp. は可能な限り cresc. を持続してもらいたいです。粘って。
  • 「I」の前のフェルマータは低音以外 dim. せずに断ち切ってほしいと思って書きました。低音は「fp」に近いぐらい音量を落として、「I」の頭はすごく長く演奏すると効果的です。断ち切る音の後でも音楽が連続しているようにしたかったためです。まあ、いろんな演奏があってよいので違う方法論で場面転換してもかまいませんが…
  • 中間部の「I」は和音を解析してそれに沿って音楽を作れたOKだと思います。と言っても少ない和音の連続です。和音そのものが持つテンションの高さで音楽を構築し、今の和音から次の和音のテンションの高さにどうつなぐかで流れが決定します。つまり方法論は通常の音楽を同じ、です。どのくらいの加減でやるか、ということですよね。
  • 「K」の前は演劇的センスで演奏してほしいです。どこの拍までストレットをかけるのか、どこで力を抜き始めるのか。その位置によって、Cla.1 が大き目に入って dim. するのか徐々に聴こえるように cresc. するのか決まります。あ、逆から決めてもいいですね。
  • 「L」の前の Trp. はベルトーンで書きました。ベルトーンを強調しても面白いのですが、オルガンの様にかぶさっていっても面白いです(そちらの演奏によく出会います)
  • 「L」の前1拍は「D」と同じくテンポのとり直しはカッコ悪い…。(おにく注:鷹吹では rit. のゆるみ → 振り分けた三連符のテンポをそのまま次のテンポに活かすようにしています)
  • 「M」に増えているオブリガード短いスパンの cresc. を各パートが繰り返してほしくてブレスをずらしました。
  • 「N」の2小節前は音量が「f」に増大しています。先ほどとバランスを変えてみるのも面白いかな?と思える演奏にも出会いました(Trb. を聞かせる、とか)
  • 「O」は当然ストレットもかかります。そのアゴーギクを吐き出すために「P」の2小節前が Meno mosso になるのは当然構いません。ストレットなしにやると気持ち悪い(ダサい)ことになりますから注意。
  • 「P」のフルートは無理せずとも聴こえます。しかし作曲者としては「P」に入ったら全体の音量をかなり落としてもらいたいです。なんとしても7小節目の Hrn. が聞きたいのです。9小節目からが本当の「f」。7小節目の Trp. Euph. T.Sax. A.Cla. は「fp」にするといいでしょうね。
  • 「P」9小節目からの Cla. はオーケストラのヴァイオリンのように感じる必要はありません。オケの tutti の中の Cla. だと思って演奏してください。ヴォリュームで他声部と張り合うつもりで書いたのではありません。
  • 「R」のテンポは変わらずに最後まで行くように書きました。しかし、「メトロノーム数字も書いてないし、ancora を書いてあるわけだし、冒頭と同じテンポでやろう!」という解釈が数十団体に一つぐらいあってもいいんじゃないかな?中学生とか高校生とかで。と思ってあえて数字を書きませんでした。(余談ですが録音の際、秋山先生は遅いテンポで演奏しました。デフォルトは速い方なのです、と前述のお話をしたところ、「じゃあ、僕は中学生レヴェルということだね、友君~」とからかわれましたが…)
  • ラストの四分音符はもちろん自由な解釈で構わないのですが、作曲者としては長目をイメージしました。

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